第149章

酒井初音が久世家へ戻ってからというもの、祖母は事あるごとに「久世家の家法は厳しい」と言い聞かせてきた。

けれど――最初から最後まで、その家法に縛られているのは、どう見ても初音だけだった。

父の酒井秀雄と兄に言われた言葉を、彼女はずっと胸に刻んでいる。家に帰ったら家族の言うことを聞け。家族こそが、この世でいちばん近い存在だ、と。

彼女だって、ちゃんと仲良くしたかった。

それなのに――ここ数日。

初音が唯一、反骨を見せたのが今夜だった。

酒井裕也に会いに行く。酒井家の人間に会いに行く。

血が繋がっていようがいまいが、酒井家の人たちだって自分の「家族」だ。育ててくれた恩は、血縁より軽...

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